- 公開日: 最終更新日:
多言語サイトとは?作り方や注意点、SEOのポイントを解説
企業やお店のホームページ制作において、多言語対応がますます重要になっています。
特に、海外の顧客やインバウンド需要をターゲットにする場合、多言語サイトを構築することは新たなビジネスチャンスを生み出す鍵となります。しかし、どの言語を翻訳すべきか、どんなツールを使えば良いのか、SEO対策をどう進めるべきか、課題は尽きません。
このページでは、多言語サイトの基本的な作り方や注意点、SEO対策のポイントについて解説します。WordPressやWIXなどのツールから、URL設定や言語切り替え機能の設置の重要性まで、多言語対応のホームページを成功させるためのヒントを網羅的にお伝えします。
多言語サイトの制作を検討している方や、既存のホームページを多言語化したいと考えている方にとって、役立つ情報を提供しています。これを機に、グローバル市場への第一歩を踏み出しましょう。
目次
多言語サイトとは
多言語サイトとは、特定の国のユーザーに向けて、その国の言語で情報を提供するホームページを指します。
このようなサイトは、訪問者が自分の言語でスムーズにコンテンツを閲覧できるように設計されており、海外展開やインバウンド需要をターゲットにする企業にとって重要な役割を果たします。
一方で、グローバルサイトという言葉もよく使われますが、こちらは全世界を対象にしたサイトで、多言語サイトの入口として機能することが多いです。グローバルサイトは広範囲をカバーする反面、多言語サイトは言語や地域ごとに最適化されたコンテンツやSEO対策が特徴です。
多言語サイトを構築する際には、言語切り替え機能やURL構造、SEOを意識したメタタグ設定が重要です。これらを適切に実施することで、検索エンジンの評価を高め、ユーザーにも使いやすいサイトを実現できます。
多言語サイトを制作するメリット
多言語サイトを制作することで、単なる情報発信の範囲を超えて、国際的なビジネス展開やユーザー体験の向上を実現することができます。
ここでは、多言語サイトがどのような価値を提供するのかをご紹介します。
海外でのビジネスチャンスが生まれる
多言語サイトは、海外の顧客に直接アプローチできる強力なツールです。
その国の言語で情報を発信することで、言語の壁を越え、現地ユーザーに信頼感を与えます。また、現地の検索エンジンでの表示機会も増え、オンライン経由での取引や問い合わせが期待できます。
たとえば、商品やサービスを提供する企業が現地の顧客にアプローチする場合、英語だけでなくスペイン語、中国語、フランス語といった主要言語に対応することで、幅広い層の潜在顧客にリーチできる可能性があります。
インバウンド需要を狙える
観光業や飲食業などでは、多言語対応がインバウンド需要の取り込みに直結します。
訪日外国人が増える中、母国語で提供された情報は、安心感と利便性を高める重要な要素です。例えば、レストランや宿泊施設が多言語対応することで、予約ページの離脱率を低下させ、実際の来店や利用を促進することができます。
さらに、地域に特化した情報を母国語で提供することで、訪問者との信頼関係を構築し、繰り返しの利用につなげることも可能です。
ブランディングに役立つ
多言語サイトは、企業やブランドの国際的な認知度向上に貢献します。
地域ごとに最適化されたメッセージやデザインを展開することで、現地ユーザーに親しみを感じてもらうことが可能です。また、言語や文化に配慮したコンテンツを提供することで、他社との差別化が図れ、グローバル市場での競争力が向上します。
特に、商品やサービスの説明だけでなく、現地文化に合わせたキャンペーンやイベント情報を掲載することが、ブランディング強化に役立つポイントです。
多言語サイトの作り方
多言語サイトを構築するには、どの言語に対応させるのか、またどのコンテンツを翻訳するのかを明確にすることから始める必要があります。その上で、翻訳作業や外国語ページの設計、SEOに対応した調整を行うことで、ターゲットとするユーザーにとって使いやすいサイトを実現できます。
以下に具体的な手順を解説します。
翻訳する言語や対象コンテンツを定める
多言語サイトを作成する際には、まず目的とターゲット市場を明確にすることが重要です。その上で、どの地域や国を対象とするのかを決め、その地域で使用されている言語を選定します。対応する言語の選択は、企業のビジネスモデルやターゲット市場に応じて異なります。
例えば、アジア市場を狙う企業であれば中国語や韓国語、ヨーロッパ市場を重視する場合にはフランス語やドイツ語といった選択肢が挙げられます。一方で、世界中の多くの地域で使用されている英語をベースにする企業も少なくありません。
翻訳するコンテンツについても、すべてを翻訳するのではなく、ターゲットユーザーにとって必要性の高い情報を優先的に対応することが基本です。例えば、製品ページやお問い合わせフォームといったユーザーの行動に直結する部分から始めるのが効果的です。
また、現地の文化や市場特性を考慮した内容を反映させることで、単なる情報提供以上の価値をユーザーに提供することができます。
翻訳する
翻訳は多言語サイト構築の中心となるステップであり、ターゲットとなるユーザーに正確で分かりやすい情報を届けるための重要な作業です。
翻訳作業は、単なる言語の変換ではなく、現地の文化や慣習、ユーザーが使い慣れた表現を反映することが求められます。翻訳は、専門の翻訳者に依頼して正確で自然な表現を採用するケースが一般的です。また、現地市場で使われる特定の業界用語やフレーズを含めることで、ターゲットユーザーとの信頼を築くことができます。
さらに、翻訳後には必ず確認や校正を行い、一貫性や正確性を保つことが必要です。
近年では、Google翻訳やDeepLなどの機械翻訳を活用する企業も増えています。ただし、機械翻訳は補助的な役割として位置づけることが重要です。翻訳作業において注意すべき点は、文化的背景に配慮しつつ、現地のユーザーが直感的に理解できる内容に仕上げることです。
これにより、多言語サイトがユーザーにとって使いやすく、親しみやすいものになります。
外国語ページのURL設定と作成
外国語ページのURL構造の適切な設定は、多言語サイトのSEO効果を高めるために欠かせないポイントです。
例えば、example.com/en/のように言語ごとにサブディレクトリを作成する方法は、管理が容易で、SEOにおいても一貫性が保たれるため、広く利用されています。
また、en.example.comのようなサブドメインを利用する方法もあります。この方法では、各言語が独立したサイトのように扱われるため、大規模なプロジェクトや地域ごとに異なる戦略を採用する場合に適しています。
どの方法を選ぶかは、運営体制や管理のしやすさに応じて決定すべきです。また、適切なURL構造を持つことで、検索エンジンが多言語対応を認識しやすくなり、評価が高まります。
外国語ページのメタタグを書き換える
外国語ページでは、ページが使用している言語を正しく指定するために、headタグ内のメタタグを設定する必要があります。headタグとは、HTMLページ全体の基本情報を定義するタグであり、その中に記載されるメタタグは、言語やタイトル情報などを検索エンジンに伝える役割を果たします。
具体的には、HTMLのheadタグ内にあるhtml lang="ja"を対象言語に応じてen(英語)やde(ドイツ語)などに変更します。さらに、日本語のページと対応する外国語ページを検索エンジンに認識させるために、link rel=’"alternate"タグを適切に設定することが重要です。
例えば、英語ページの場合、link rel="alternate" hreflang="en" href="英語ページのURL"という記述を行います。これにより、検索エンジンに対して、このページは英語版ですという情報を明確に伝えることができます。
こうしたメタタグの設定を正しく行うことで、検索エンジンにおける多言語サイトの評価が向上し、ユーザーが適切な言語のページを閲覧できるようになります。
ツールを使った多言語サイトの作り方
多言語サイトを構築する際には、手作業での翻訳やページ作成に加え、専用ツールを活用することで効率的に対応することが可能です。WordPressのプラグインやWIX、Shopifyなどは、それぞれ異なるニーズに応じた機能を提供しており、初心者から上級者まで幅広く利用されています。
以下では、それぞれのツールの特徴と活用方法をご紹介します。
WordPressとプラグイン
WordPressは、既存の日本語サイトを簡単に多言語対応に変更できる柔軟性が魅力のCMSです。
多言語化にはWPMLなどのプラグインを活用するのが一般的です。このプラグインを導入することで、65以上の言語に対応し、サイト全体を効率的に多言語化できます。
WPMLは、Google翻訳やDeepLとの連携機能を備え、自動翻訳を取り入れることが可能です。また、必要に応じて、WPMLと連携した翻訳家に依頼することで、精度の高い翻訳を実現できます。
さらに、WordPressはマルチドメインやサブディレクトリを用いて多言語サイトを管理する柔軟性を持っていますが、一般的にはサブディレクトリ形式が広く採用されています。
WIX
WIXは、クラウド型のサイト作成サービスとして、多言語対応を簡単に実現できるプラットフォームです。
WIXでは、WIXマルチリンガルという機能を活用することで、150以上の言語に対応した多言語サイトを作成することが可能です。
作成手順もシンプルで、WIXのテンプレートを選び、表示言語を追加した後、コンテンツを翻訳するだけです。翻訳はGoogle翻訳と連携した自動翻訳に対応しているほか、必要に応じて手動で修正することもできます。
また、有料プランを利用すれば独自ドメインも設定でき、ビジネス目的での利用に適した仕様となっています。WIXは直感的な操作性が強みで、多言語化を初めて行う場合にもおすすめです。
Shopify
Shopifyは、越境ECサイトの構築に特化したSaaS型サービスで、50以上の言語に対応する多言語化機能を提供しています。特に、多国籍な商圏をターゲットとする場合には、その柔軟性と拡張性が高く評価されています。
Shopifyでは、言語ごとのページ作成や、自動翻訳機能を備えたアプリを利用することで、多言語対応を効率的に進めることができます。また、言語切り替えボタンの設置や、地域ごとのニーズに対応したカスタマイズが可能で、ECサイト運営における重要なポイントを押さえています。
Shopifyの多彩なアプリとの連携により、サイト全体の管理を一元化できる点も大きなメリットです。
多言語サイトがSEO対策で成功する秘訣
多言語サイトを成功させるためには、単に言語を増やすだけではなく、SEO対策を意識した構築が欠かせません。各言語ごとのページが適切に検索エンジンで評価されるためには、技術的な設定と戦略的なキーワード選定が重要です。
ここでは、SEO効果を高めるためのポイントを解説します。
サブディレクトリを利用する
多言語サイトでは、URL構造が検索エンジンの評価に大きく影響します。一般的に推奨されるのは、言語ごとにサブディレクトリを利用する方法です。例えば、日本語のページがexample.comである場合、英語のページはexample.com/en/という形で管理するのが理想的です。
サブディレクトリを利用することで、ドメインの評価を一元化でき、全体のSEOパフォーマンスを高める効果があります。また、Googleなどの検索エンジンが多言語ページを効率的に認識しやすくなるため、インデックス速度の向上も期待できます。
サイト運営者にとっても、管理の手間を抑えつつ、各言語のページを最適化しやすいのがメリットです。
外国語ページ用のXMLサイトマップを作成する
検索エンジンに多言語サイトの正確な情報を伝えるには、XMLサイトマップを活用することが不可欠です。特に、言語ごとにXMLサイトマップを分けることで、各言語ページを効率的にインデックスさせることが可能になります。
言語ごとのXMLサイトマップは、それぞれのページがどの言語に対応しているのかを明確に示します。例えば、英語用のサイトマップにはexample.com/en/のURLを、日本語用のサイトマップにはexample.com/ja/のURLを記載します。これにより、検索エンジンは、このページは特定の言語や地域向けであると正確に認識できます。
国ごとのキーワード選定が必要になる
多言語サイトでは、国や地域ごとに異なる検索キーワードが使用されるため、それぞれの市場に合わせたキーワード選定が必要です。同じ商品やサービスでも、地域ごとに異なる検索意図を持つユーザーが多いため、現地の検索トレンドを把握することが成功の鍵となります。
例えば、同じ靴を表すキーワードでも、英語圏では使用される表現が地域によって異なります。イギリスでは【trainers】、アメリカでは【sneakers】という言葉が一般的です。このように、地域特有の表現や言葉の違いを理解し、現地の検索エンジンで適切なキーワードを調査することが大切です。
調査したキーワードをコンテンツやメタタグに反映させることで、多言語サイトの検索エンジンでの評価を向上させることができます。
多言語サイト制作の注意点
多言語サイトを制作する際には、効率的な翻訳やサイト構築だけでなく、ユーザー体験や検索エンジン対策における注意点を押さえることが重要です。適切な配慮がないと、ユーザーに混乱を与えるだけでなく、SEOの効果も半減してしまいます。
以下では、特に意識すべきポイントを解説します。
機械翻訳をそのまま使わない
多言語サイトを制作する際に機械翻訳は便利なツールですが、そのまま使用するのは避けるべきです。
機械翻訳は文法や単語の意味を正確に翻訳できる場合もありますが、微妙なニュアンスや文化的な背景を理解することはできません。その結果、不自然な表現や誤解を招く文章が生まれることがあり、ユーザーの信頼を損なう可能性があります。
例えば、製品説明やサービス案内の内容が誤訳された場合、意図しないイメージを与えるリスクがあります。
翻訳後には必ず人間による校正を行い、ターゲット言語の文化や習慣に合った表現に仕上げることが重要です。
言語切り替えボタンの作成は必須
多言語サイトを利用するユーザーにとって、目的の言語を簡単に選択できる仕組みを提供することが必須です。言語切り替えボタンを設置することで、ユーザーが自分の母国語のページにスムーズにアクセスできるようになります。
言語切り替えボタンは、ヘッダーやメインナビゲーションなど、目につきやすい場所への配置が効果的です。また、国旗アイコンを使用するデザインは直感的に言語切り替えを促す方法として広く利用されています。ただし、国旗は必ずしも言語と一致しないため、ENやJAなどの文字表記を併用することが推奨されます。
さらに、自動でユーザーの言語設定を検出して表示する機能を加えると、より利便性が向上します。ただし、自動切り替え機能だけに頼らず、ユーザー自身で言語を選択できるオプションを残しておくことが重要です。
多言語サイト制作の費用相場
多言語サイトの制作費用は、対応する言語の数やサイトの規模、必要な機能によって変動しますが、目安として500万円以上になることが一般的です。この費用には、翻訳作業、多言語対応機能の実装、言語切り替えボタンの設置、さらにSEO対策が含まれることが多いです。
特に多言語対応では、単に言語を追加するだけではなく、それぞれの言語や地域の特性に合わせたカスタマイズが必要になるため、通常のホームページ制作よりもコストがかかります。例えば、商品の説明やサービス案内を翻訳するだけでなく、現地の市場に合わせた表現やデザインの調整が求められる場合もあります。
翻訳の方法も費用に影響を与えます。専門の翻訳者に依頼する場合、正確で自然な表現が期待できますが、コストが増加します。一方で、機械翻訳を活用する方法は初期費用を抑えることが可能ですが、最終的な校正や現地化の作業は欠かせません。
また、多言語サイトは初期制作費用だけでなく、運用面でのコストも考慮する必要があります。言語ごとにコンテンツを更新したり、新しいページを追加したりする作業が発生するため、長期的な運用計画が重要です。
多言語サイトとはのまとめ
多言語サイトは、海外ユーザーや異なる言語圏のユーザーに向けて情報を提供するための重要なツールです。適切な言語選定、翻訳、SEO対策を行うことで、ビジネスのグローバル展開やインバウンド需要の拡大に大きく貢献します。
多言語対応を進める際には、ユーザーにとって使いやすいデザインや言語切り替え機能を導入するとともに、検索エンジンに評価されやすい構造を整えることが重要です。また、初期制作費用だけでなく、長期的な運用コストも視野に入れて計画を立てる必要があります。
多言語サイトを適切に運用することで、信頼性の高いホームページを構築でき、国内外を問わず多くのユーザーにアプローチできるようになります。
これを機に、多言語対応をビジネスの成長に活かしてみてはいかがでしょうか。