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WordPressの脆弱性とは?最新情報の調べ方と対策方法
WordPressは多くのホームページで利用されている便利なツールですが、脆弱性が指摘されることも少なくありません。特に、セキュリティへの意識が十分でないまま運用を続けていると、思わぬリスクにつながります。
この記事では、WordPressの脆弱性とは何かをはじめ、狙われやすい理由や最新情報の調べ方、そして具体的な対策方法について紹介します。安全なサイト運営のために、基本から理解しておくことが大切です。
目次
WordPressの脆弱性とは
WordPressの脆弱性とは、システム内部に存在するセキュリティ上の弱点や不具合のことを指します。こうした脆弱性があると、外部からの不正アクセスや悪意がある操作を受けるリスクが高まります。
特にWordPressは、多くのユーザーが利用しているため、攻撃者にとっても狙う価値があると見なされやすいのが現実です。脆弱性はWordPress本体だけでなく、使用しているテーマやプラグインにも関係します。その結果、ログイン情報が盗まれたり、サイトの内容が書き換えられるなどの被害に発展するケースも見られます。
このような脆弱性は、すべてのCMSに共通する課題でもありますが、WordPressを安心して使い続けるためには、こうしたリスクが存在することを知っておくことが大切です。
WordPressの脆弱性の種類
WordPressの脆弱性には、本体そのものと、プラグインやテーマに関するものの2種類があります。どちらも放置すればサイトの安全性に影響するため、ここではそれぞれの種類について紹介します。
WordPress本体の脆弱性
WordPress本体は、全体の土台となる重要なシステムです。そのため、もし本体に脆弱性があると、サイト全体に影響が及ぶ可能性があります。
過去には、アクセス権限の制御ミスやAPIの仕様に関する問題が見つかり、悪用されてしまった例もあります。これらはWordPress公式によって修正されていくものの、アップデートを行っていないサイトでは古い脆弱性が放置されたままになっていることもあります。
とくに古いバージョンを使い続けている場合には、既知の脆弱性が狙われやすくなるため注意が必要です。
プラグインやテーマの脆弱性
WordPressを使ううえで欠かせないプラグインやテーマも、脆弱性の原因となることがあります。これらは外部の開発者によって提供されており、セキュリティへの対応レベルにも差があります。
中には、開発やサポートがすでに終了しているものもあり、脆弱性が見つかっても修正されないまま放置されているケースも珍しくありません。
また、無料配布されているテーマや非公式サイトから入手したプラグインの中には、最初から悪意のあるコードが含まれているものもあります。見た目や便利な機能に惹かれて安易に導入すると、思わぬリスクにつながることもあるため、信頼できる提供元を選ぶことが大切です。
WordPressの脆弱性が狙われる理由
WordPressは非常に多くのWebサイトで利用されており、その利便性の高さから初心者でも簡単に扱えるのが特徴です。その一方で、いくつかの要因が重なることで攻撃の対象にもなりやすい状況が生まれています。
シェア率が高い
WordPressは世界中のWebサイトのうち、4割以上が利用しているとされるほど高いシェアを誇るCMSです。
このように利用者が多いということは、攻撃者からすれば、一度攻撃方法を確立すれば多くのサイトに応用できるという大きなメリットになります。つまり、効率よく成果を得るためにWordPressを標的にしやすいという構図が成り立ってしまうのです。
オープンソースのCMSになる
WordPressはオープンソースで提供されているCMSで、誰でも自由にソースコードを閲覧したり、ダウンロードして解析することができます。この自由さは、開発者にとって大きなメリットである一方で、攻撃者にとっても同じことが言えます。
悪意を持つユーザーがWordPressの構造を研究し、脆弱な部分を探し出すことも可能になります。とくに、古いバージョンには既知の脆弱性が含まれていることが多く、それを使って攻撃方法を試すことも容易です。
オープンソースであることは透明性を確保する上では優れた選択ですがセキュリティ面での配慮が不可欠です。
特別な知識がなくても利用ができる
WordPressは、専門的な知識がなくても比較的簡単にホームページが作れるという点で、多くのユーザーに支持されています。操作画面が分かりやすく、テンプレートやプラグインを使えば、コーディング経験がなくても見た目の整ったサイトを制作できます。
ただし、その手軽さが原因で、セキュリティ対策まで十分に意識されていないまま運用されているケースも少なくありません。たとえば、初期設定のまま放置されたログイン情報や、メンテナンスされていないプラグインなどが脆弱性の原因となることがあります。
知識がなくても始められるからこそ、最低限のセキュリティ対策を理解しておく必要があります。
WordPressの脆弱性を狙った攻撃の種類
WordPressにはさまざまな攻撃手法が存在し、どれも実際の被害につながる可能性があります。ここでは、代表的な攻撃の種類について紹介します。
管理画面への不正アクセス
管理画面は、WordPressサイトを操作・管理するための重要な入口です。このログインページが狙われると、悪意のある第三者にサイトの中身を自由に操作されてしまうリスクがあります。
よくある手口のひとつがブルートフォース攻撃と呼ばれるもので、ユーザー名とパスワードを総当たりで試し、突破を図る方法です。特に、adminといった初期設定のユーザー名や、簡単なパスワードを使っている場合は突破されやすくなります。
不正アクセスが成功すると、サイトの内容が勝手に書き換えられたり、悪質なスクリプトを仕込まれる恐れもあるため注意が必要です。
Webサイトの改ざん
脆弱性を突かれてログインされたり、テーマやプラグイン経由で侵入されると、Webサイトの表示内容が勝手に書き換えられてしまうことがあります。これが改ざんと呼ばれる攻撃です。
改ざんされる内容はさまざまで、スパム広告の表示や、全く関係のない別サイトへのリダイレクト、さらにはウイルスへの感染を目的としたコードの埋め込みなども見られます。見た目では一見わかりにくい場合もあり、気づかないまま運営を続けてしまうケースもあります。
閲覧者や検索エンジンに悪影響を与えるため早期の検知と復旧が重要です。
情報漏洩
WordPressには、問い合わせフォームや会員制機能など、個人情報を扱う仕組みを導入しているサイトも少なくありません。こうしたサイトが攻撃を受けると、フォームを通じて送られた内容や、ユーザーの登録情報が外部に漏洩する恐れがあります。
とくに、SSL化されていない環境で通信を行っている場合や、ログイン情報がシンプルなケースでは、悪意ある第三者がその情報を盗み取るリスクが高まります。個人情報の取り扱いがあるサイトでは、セキュリティ対策の徹底が求められます。
サイバー攻撃の中継地点
脆弱性を持つWordPressサイトは、サイバー攻撃の踏み台として悪用されることもあります。攻撃者は一度サイトに侵入すると、そのサーバーを利用して別のサイトやネットワークに攻撃を仕掛ける場合があります。
このような中継地点として使われると、サイト運営者自身が加害者のような立場になってしまい、意図しない責任を問われる可能性もあります。また、サーバーの負荷が増えたり、プロバイダーから警告や利用停止措置を受けるリスクもあります。
自分のサイトを守ることは、他者を守ることにもつながるという意識が大切です。
最新の脆弱性を調べる方法
WordPressは常にアップデートが行われており、新たな脆弱性が見つかることも少なくありません。安全に運用を続けるためには、日々の情報収集が欠かせません。
WordPressのサイトヘルスを確認する
WordPressにはサイトヘルスという機能が標準で搭載されており、セキュリティやパフォーマンスに関する状況を簡単に確認できます。管理画面のツール→サイトヘルスを開くことで、現在のWordPress環境に問題があるかどうかを一覧でチェックできます。
この中には、使用中のテーマやプラグインの更新状況、PHPバージョン、HTTPS対応の有無など、セキュリティに関わる情報も含まれています。改善が必要と表示された項目があれば、早めに対応することで脆弱性のリスクを減らすことができます。
放置されがちな項目を可視化してくれるため、定期的なチェックが有効です。
レンタルサーバー会社の告知を見る
レンタルサーバーを利用している場合、その提供元がWordPress関連の脆弱性情報を発信していることがあります。とくに、セキュリティに関する注意喚起や緊急パッチの案内などがあるため、定期的に公式サイトのお知らせやサポート情報を確認するのがおすすめです。
また、サーバー会社によっては独自のセキュリティ診断機能を提供していることもあり、そうしたサービスを活用することで確認の手間を減らすことができます。ホスティング側の情報も併せて確認する姿勢が大切です。
WordPressの公式サイトを閲覧する
WordPress.orgの公式サイトでは、セキュリティ関連の情報も随時公開されています。特にNewsセクションには、脆弱性に関する情報や、どのバージョンで脆弱性が修正されたかといった内容が詳しく掲載されています。
英語での情報が中心にはなりますが、公式が発表している情報なので信頼性が高く、アップデートの判断材料として活用できます。ブラウザの翻訳機能などを利用して、必要に応じて情報源をチェックしましょう。
WordPressの脆弱性に関する情報サイトを閲覧する
セキュリティ専門の情報サイトでは、WordPressの脆弱性情報が整理されて掲載されています。たとえば、JVNなどでは、発見された脆弱性の概要や影響範囲、対策方法が分かりやすくまとめられています。
こうした情報源を活用することで、今どの部分が危険とされているのかを把握し、対策を講じる判断材料とすることができます。
WordPressの脆弱性に対するセキュリティ対策の方法
脆弱性を完全になくすことは難しいですが、基本的な対策をしっかり行うことで、リスクを大幅に下げることができます。ここでは、実践しやすく効果の高いセキュリティ対策を紹介します。
複雑なログイン情報に変更する
WordPressの管理画面は、不正アクセスの対象になりやすい場所です。初期設定のままでは、ログインページのURLやユーザー名が予測されやすく、簡単なパスワードを使っていると突破されるリスクが高くなります。
まずは、ログインIDやパスワードを他人に推測されにくいものに変更しましょう。英数字の組み合わせに記号を加えたり、12文字以上の長いパスワードを使うことが推奨されます。また、ログインURLを変更するプラグインを使ったり、画像認証を導入することで、総当たり攻撃への対策にもなります。
ログインまわりの設定強化は、手軽で効果的なセキュリティ対策のひとつです。
最新バージョンにアップデートする
WordPress本体、使用しているプラグイン、テーマのいずれも、常に最新の状態に保つことが重要です。開発元は、発見された脆弱性に対してセキュリティパッチを適用した更新版を随時リリースしており、古いままの状態では既知の脆弱性を抱えたまま運用していることになります。
とくに自動更新をオフにしていたり、長期間ログインしていないサイトでは、気づかないうちに脆弱な状態が続いていることもあります。定期的に管理画面にアクセスし、更新情報をチェックする習慣をつけましょう。
利用していないプラグイやテーマは削除する
使っていないプラグインやテーマをインストールしたまま放置していると、それらがセキュリティホールになることがあります。仮に有効化されていなくても、ファイルがサーバーに存在している限り、攻撃者にとっては侵入経路となり得ます。
不要なプラグインやテーマは、単に無効化するのではなく、削除することが推奨されます。また、使用中のものでも、最終更新から長い期間が経っている場合は、代替のツールがないか検討するのもひとつの方法です。
サイトの軽量化にもつながるため、定期的な見直しをおすすめします。
Webサイトを常時SSL化する
SSLに対応させることで、ブラウザとサーバー間の通信が暗号化され、第三者に情報が盗み見られるリスクを減らすことができます。とくに、ログイン情報やフォームの送信内容など、機密性の高いデータを扱うページではSSL化が必須です。
SSLは現在のWebサイトにおいて標準化されており、未対応のサイトは保護されていない通信としてブラウザに表示されるようになっています。
GoogleもSEOの観点からSSL対応を評価対象としています。多くのレンタルサーバーでは無料のSSLが提供されているため、まだ対応していない場合は早急に設定しましょう。
レンタルサーバーのセキュリティ機能を利用する
レンタルサーバー各社では、独自のセキュリティ対策を用意していることが多くあります。たとえば、WAF、ウイルススキャン、改ざん検知機能、バックアップ機能などです。
これらはWordPress側での対策を補完してくれる重要な仕組みです。サーバー管理画面で有効化できることが多く、専門知識がなくても利用可能ですので、契約しているサーバー会社の機能を確認して、必要な対策を取り入れましょう。
まとめ:脆弱性への理解と対策が安全な運用につながる
WordPressは便利で柔軟性の高いCMSですが、広く使われているからこそ脆弱性を狙った攻撃の対象にもなりやすい側面があります。脆弱性は本体だけでなく、テーマやプラグインなどにも存在し、放置することで深刻な被害につながることもあります。
必要な情報をチェックし、基本的なセキュリティ対策を実施していれば、リスクを最小限に抑えることは十分可能です。サイトヘルスの確認、アップデートの実施、不要なファイルの削除、SSL化、サーバー機能の活用など、できることから着実に取り組んでいきましょう。
大切なのは、WordPressを正しく理解し、無理のない範囲で継続的に対策を行っていくことです。安全なサイト運用の第一歩は、脆弱性を他人事にしない意識から始まります。